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2016年3月12日 (土)

燃料用アルコールは今まで通り販売されるか?

 テレビや新聞により事件が報道され、その手法が広まってしまったことにより販売が中止されるだけでなく、製造元も解散したことで今まで使えていたものが今では手に入らなくなったものがあります。それは、個人的な感想ではありますが、家庭用の入浴剤としてはかなり温泉に近い入りごこちがあり、特に冬に冷えた体を暖めてくれる「ムトウハップ」という入浴剤だったのです。

 この入浴剤を入れるとお湯は白濁し、硫黄の匂いがする温泉の気分を満喫させてくれました。出た後の風呂掃除が大変になることはありましたが、本当に疲れた時にはこの入浴剤を入れてお風呂に入るのが楽しみだったのですが、この商品ととある洗浄剤を混ぜると硫化水素が発生するということで自殺に使われ、更に悪いことに自殺を試みた本人だけでなく周りの人をも巻き込んで被害を拡大したことで思わぬ非難が起こりました。

 個人的におかしいと思ったのは「ムトウハップ」に混ぜる洗浄剤については今でも販売されているのに、「ムトウハップ」の方だけなくなってしまったことです。会社自体が零細で、後継者がいなければいつ廃業してもおかしくないとは言われていたものの、もしこの自殺騒ぎがなければ、どこかの企業が製造を引き継いで同じブランドで売られていたのではないかと思うと大変残念なのですが、先日、また違ったどこでも誰もが簡単に入手できるもので人が亡くなってしまうという事件が報道されました。

 それは、西宮市のマンションに暮らす男性が、妻である女性から晩酌のアルコールの中に燃料用のメチルアルコールを混ぜたものを飲み、意識不明のまま病院に運ばれたものの、そのまま亡くなってしまったという事件です。化学薬品というのは普通に買えるものでも人体に有害なものも少なくありません。私などは学生の時、エチルアルコールは「笑ちる」ということで飲んでも(といってもアルコール度数が高すぎるものはそのまま飲むと危険ですが)大丈夫なものの、メチルアルコールは「目散る」から絶対に飲んではいけないと教わりました。

 また、このブログでもいくつか関連商品を紹介していますが、アルコールバーナーの原料として使う場合でも、炎が上がる真上に顔を出すと、まさに目がしばしばするくらいに刺激が強いことがわかります。揮発性が高いので今までも火のそばに置かないなど、主に火気との関係における注意ということで語られることが多かった燃料用アルコールですが、ここに来て、一口飲めば命も危ないものを簡単に誰でも買えるようにして大丈夫なのかというような論調になってくると、純粋に燃料として使っている人がとばっちりを受けることにならないかと心配になります。

 お子さんがいるご家庭では、間違ってお子さんが口に入れないように管理をすることが大事ですが、持ち運びしやすい防災用の燃料としても十分実用になるものですから、今のように全国どこでも買えるような状況は維持して欲しいです。ただ、事件を扱ったテレビのワイドショーで、現在は燃料用アルコールがだれでも登録無しで買えるということにスポットを当てていたのを見ていると、この事件をきっかけにして全国どこでも簡単に燃料用アルコールを買えなくなってしまうと個人的には少々困ります。とりあえずは取り扱いに注意しながら今の推移を見守っていこうと思っています。

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