電子手帳の登場と現状での問題
今はもう「電子手帳」という言い方はされないかも知れませんが、私の認識では電卓の付加機能として電子手帳というものが出現したように思います。その第1号というのはカシオからPF-5000というデータバンクシリーズの一号機が1983年に販売されたということですが、それが事実だとすると、私は発売当時に購入しています。
すでに30年経ってしまっているので表面が見事に剥がれてしまい、ボタンも全て外れてしまったので使いものにはなりませんが、住所録のほかメモ書きをカタカナで50件まで入力することができました。さらに表形式のデータ入力もできました。購入当時はまだ学生でそれほど友人もいなかったため、それまで紙の住所録に入れていた人をキーボードから入力して悦に入っていました(^^)。住所録の場合、転居で内容の変更が起こることが多く、紙の住所録では転居のたびに書き直した跡が汚く残ったりしてしまうので、簡単に書き換え可能というのは本当に画期的だと思いました。当時こんなものを使って電話番号を調べている人はいなかったので相当珍しがられましたが、次第に知り合いが増えてくるに従ってたちまち電子手帳のメモリーがいっぱいになる不具合が出てきました。
そんな時に出てきたのが電子手帳機能の中で住所録機能だけをピックアップし、カード型の電卓といった風体の中に多くの内容を入力できる端末が登場してきました。私が購入したのは一連の機種の中でもかなり成熟した製品、シャープの「電子カナメモ450 PA-220」です。電子手帳の方はその後のザウルスに繋がるカートリッジを使った様々な機能が付いたり、漢字が扱えるように進化したものも出てきたものの大きく重くなっていったので、こちらではカナ文字のみではありますがおよそ450人分という多くのデータを入力可能なのが嬉しかったです。電卓はもちろん、時計およびアラームの機能もあったので携帯するには便利で、主に住所録としての利用はこちらを使っていました。ただ、当時はデータを長期保存するためには動作用電池の他にデータ保護用の電池も必要だったので、長期間使わなくなったらたちどころにメモリーの内容がなくなってしまうという問題が多くの端末で生じました。
その後、まだ携帯電話が一般的になる前、例えば外出していて誰かと連絡を取りたい場合に公衆電話を普通に使っていた頃に出てきたのが、「トーンダイヤラー」と呼ばれたものです。写真は私が当時使っていたソニーのインテリジェントダイヤラーIDS-500です。小型の電話帳ではありますが、裏にスピーカーが付いていて、発信ボタンを押すとプッシュホン用のトーン信号が出ます。ダイヤル回線の場合は直接ダイヤルできませんが、公衆電話の通話口にこのトーンダイヤラーを押し付けて信号を送出するとそのまま電話が掛けられるのです。しかしこれも、携帯電話をみんなが持つようになってこの種の端末は急速に廃れていきました。ただし、個人的には名前と電話番号以外に住所や誕生日、その他のパーソナルメモなどを加える場合は携帯電話の電話帳では全てを入力表示することは難しかったので、パソコン上のデータベースソフトと連携してその後進化してきた情報端末内に入れて持ち出すことはやっていました。
昔も今も変わらないのは全く何もないところから住所録を入力することの手間でしょう。私の場合はこれまで紹介してきた端末では直接カナ入力で1件ずつ入れていったものの、改めて紹介する機会があるであろう高性能な電子手帳・情報端末で扱えるようになってからは、パソコン上で入力した住所録をアウトルックのような専用ソフトから携帯電話に送信する方法で行ないました。さらに今ではスマートフォンの登場とともに、名刺を内蔵カメラで撮影することでデータを取り込むアプリを利用する方法もありますので、名刺が入手できる場合はうまく使うのがいいと思います。このようにして引き継いできたデータベースがあれば、持つ端末が変わっても住所録はパソコン上で管理できるので、変更があった時にはパソコン上で変更した上で携帯端末や携帯電話に転送することをやってきましたが、今はむやみに膨大になった住所録を端末上に残しておくこと自体がまずいという状況になっています。元々、電子手帳というものは住所録の電子化を主な機能にしていたということを考えると、便利だと思って作っていたものがだんだん大きくなるに従って不便になっていくというおかしなことになりつつあります。ですから今後、スマートフォンによる電話帳や住所録の管理をするにあたって、乗り越えなければならない問題として考えることも必要になってくるのではないでしょうか。
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