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2014年3月15日 (土)

辞書の「新」「旧」を同居させるメリット

 三省堂が主に中学生以上を対象にした学習用の国語辞典「三省堂国語辞典」の新版(第七版)がAndroid端末で使える形で販売を開始しました。私はその前の第六版を購入してインストールしていたのですが、私のように前のバージョンを持っている人には定価の半額で新版をダウンロードできるという案内が来たので速攻で入手し、今私の使っているAndroid端末の中には「新明解国語辞典 第七版」とともに「三省堂国語辞典」の第六版と第七版の3つの国語辞典が同時に入っていることになります。

 興味のない方にとってはなぜわざわざ同じような辞書アプリを入れ、さらに同じ辞書の「版違い」を両方入れておくのはメモリ容量を圧迫するだけだと思われるかも知れません。しかしながら、今回紹介する「三省堂国語辞典」が生きのいい日本語を掲載するために、徹底したワードハンティング(多くの文献やマスコミ露出、インターネットをあたり、ことばを収集すること)を積極的に行なった上で編集されるものであり、今回の改訂が6年ぶりということを考えると、同じ名前の辞書であっても中味はかなり違ってきていると見るべきでしょう。特に、前の版は2011年に発生した東日本大震災の前に出たものであるだけに、今は普通に使っている震災関連のことばが前の版では出てこない可能性が高く、ニュースの内容を聞いたり読んだりしていいてわからない言葉に当たった場合、やはり新しく編集された「三省堂国語辞典」は頼りになる辞書になると思います。

 序文によると、今回の改訂にあたり約76,600ある見出し項目のうち、約4,000は新語を中心とした新規項目になっているそうです。ちなみに、いくら電子辞書とはいっても紙の辞書と内容は全く同じです。紙の辞書の場合、価格を維持するためには前の版とページ数はそうそう変えられないため、前の版では載っていても今回の版では消えてしまったことばもあるということです。いわゆる「死語」と呼ばれるものですが、6年前には相当使われていて言葉として定着するかと思われたものの結局定着しなかったというようなことばもあるはずで、2つの辞書を読み比べると結構面白いと思いますね(^^;)。

 このような説明では少々わかりづらいところもあるかと思いますので、具体的にことばを紹介しながら、新旧の違いがどうなっているのか見ていきたいと思います。先日、テレビのワイドショーを見ていたら、日本国内のさまざまなマンホールに描かれた絵柄に見せられた女性の方々を紹介するのに「マンホール女子」という呼び方をしていました。テレビで紹介されていた「マンホール女子」の方々の年齢はまちまちで、あえてそこに「女子」という若年層を指すと私には思えることばを付けるのはどうなのかと思ったのですが、テレビ局に文句を言う前にこの「女子」ということばについて調べてみることにしました。まずは「三省堂国語辞典」と比較するという意味で、「新明解国語辞典」を調べてみました。説明されていた内容は、

『女として生まれた人の称。長幼は問わない。』

 とあります。この意に従うと、どんな年齢層でも女子には違いないわけですが、ただこうした表記はいかにも辞書の説明らしく、ちょっとわかりにくい感じがします。そこで、次に「三省堂国語辞典 第六版」の記述を紹介しましょう。

『1 [学校などで]女の子 2 むすめ 3 女性』

 と、ここでも3種類の使い分けを示していて、私のイメージする学校での呼び方としての若年層を指す意味が最初に来ています。ただ、「○○女子」といった使い方や「女子会」のような使い方についての解説としては不十分だと感じました。そこで、「三省堂国語辞典 第七版」ではどうなっているか調べたところ、上記の3つの意味に加え、俗語としながらも4つめの意味が載っていました。

『女の子と女性を合わせた年齢層。[21世紀になって広まった言い方]』

 ここまで書かれるとその細かなニュアンスがじわじわと感じられてきます。例えばこのブログを書いている時期に話題となっているであろう「理系女子」の研究者の方はいわゆる「女の子」と呼ぶには失礼な感じもしますが、この定義なら科学に興味を持った小学生から一線で活躍する研究者まで「理系女子」とひとくくりにできるわけで、こうした使い方が2000年以降一般化したことで、「マンホール女子」という言い方もされているのだなと納得した次第です。

 こうしたことばにまつわるさまざまな変化を感じられるのは、やはり時間の経過とともに集められた新語を収録した辞書を手の中に入れられ、さらに別の辞書とも簡単に比較できるスマートフォン用の辞書であればこそです。いわゆる電子辞書単体で販売されている製品の場合、このように同じ辞書の新版と旧版を同時に収録し、時間の経過とともに追っていくことはなかなかできないわけで、他の辞書はともかく、日々変わりゆく日本語の姿を理解するためには、スマートフォンの中にアプリの形で入れられるものは、メモリに余裕があれば余分に入れておいても面白いと思います。

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