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2013年3月10日 (日)

TECSUN PL-398MP に見る中華ラジオの実力 その1 汎用AC端子の威力

 日常生活で気軽に使えるだけでなく、旅行先にも持って行って役に立つラジオという事で、手元にあるものから店頭で売られているものまで様々なラジオを継続的に比較検討してきましたが、なかなかこれはというラジオに行き当たりませんでした。旅の荷物は少ない方がいいので、単なるラジオを持ち出すよりも多機能なものの方が旅先では便利なのでいろいろ悩んでしまうのです。

 そして先日、日本の中波放送の主要局がもしかしたら現在放送用としては使われていないFMの90~108MHzの周波数へ引っ越すかも知れないという話を聞き、これから購入するラジオには90~108MHzをカバーするものにした方がいいと思うようになりました。しかし、従来販売されていた古い設計のラジオにはそうしたものがあるものの、新しく作られたものは、私が興味がある録音重視の方に人気があるSONYのICZ-R51を含め、ことごとくFMは76~90MHzまでしかカバーしていません。とりあえず、今後のSONYのラジオについては90~108MHzのワイドバンドをカバーするマイナーバージョンアップのラジオを出すのか、それともファームウェアの書き替えで受信できる周波数範囲の変更が可能なのか、それがわかるまでは日本メーカーの製品についてはもう少しその動向を探る事にし、その代わりに今まで全く注目していなかったFMワイドバンドを問題なくカバーする中国製のラジオを物色する事にしました。

 旅行用のラジオに私は録音性能を必要としないので、他の使い勝手にこだわる事にしました。選局はアナログでなくプリセット方式で、スリープやアラーム機能があれば車中泊の際の就寝時や朝起きるためには有難いものです。私が持っているラジオの中ではSONYのSRF-18で実現されているスマートフォンやミュージックプレーヤーの外付けスピーカーとしても使えればなおいいという感じで見ていたところ、今挙げた全ての項目を実現しているラジオとして見付けたのが今回紹介するTECSUN PL-398MPというステレオスピーカーを搭載した小型DSPラジオです。

 皆さんは中国の企業が作った電化製品というとどういうイメージがあるでしょうか。多くの方は日本の企業の名前が付いている製品と比べると、品質や性能が劣るので安くても購入しないと考えている方が結構いると思われます。しかし、私が今使っているThinkPad121eは現在lenovoという中国企業によって作られていますが、極端な品質の悪さや性能の低さを感じる事はありません。もっとも、それほど細かい調整をしなくても基盤を組み合わせて組み立てられるという事があるのかも知れませんが、今出ている多くのDSPラジオにも同じ事が言えます。

 PL-398MPも採用しているDSPラジオというのは、大きさ的に小指の先ぐらいの小さなLSIチップの中で選局・増幅・検波・ステレオ復調を全てDSP デジタル処理で行ないます。電波を受けたものをまずデジタルデータに変換し、チップ内で処理してから出力の際にアナログに戻して音を出すのだそうです。つまり、従来のラジオのように多くの部品を組み合わせて行なっていた処理をLSIのチップ一つで行なってしまうため、細かい組み立てや調整の必要がなく高性能なラジオ(しかも長く使っていても理論的には性能劣化は考えられない)が作れてしまうというわけです。ただ、デジタル出力が全ていいかというとそういうものでもありません。音量つまみはアナログラジオのように細かい調整がきかず、30段階の決まった音の大きさの出力となっているのでその点には注意が必要でしょう。ちなみに、国内メーカーはなぜかDSPラジオは出していないので、日本でDSPラジオを手に入れるためには自作するか中国のラジオを国内向けにリメイクしている製品を買うか、私のように中国メーカーの製品を買うしかないわけです。中国は多くのラジオが売られていて、DSPでない高性能なラジオもたくさんありますが、購入にあたって部品数が少なく、調整も必要ないDSPラジオの方が理論上は故障のリスクが少なくなるということと、私自身DSPラジオは持っていなかったので、このラジオを選んだというわけです。

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 デザイン的には無骨で、その点では日本のラジオに劣るということはあるかも知れませんが、使ってみて日本のラジオにはない面白い特徴があります。周波数表示画面になぜか温度が表示されるようになっていて、これは車中泊の旅では結構役に立ちます。さらに注目したのがこの機種独特のACアダプタの仕様です。

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 この写真に見たことのあるようなジャックがあると思いますが、パソコンの周辺機器用miniBタイプのコードが差さるようになっています。カタログでは5V 250mAとなっているので、かなり安価なUSB用のACアダプタに100円ショップで売っているコードの組み合わせでも普通に使えますし、充電池を本体で充電することも可能なので、使っているパソコンに接続することで充電および給電が可能になっています。さらに言うと、私が持っている小型の太陽電池パネル(しかもUSB端子から出力も可能)エレコム ソーラー充電器セット DE-SCSET01WHの太陽電池部分の出力が最大260mAなので、そのままこのラジオに繋げば電池がなくてもしっかり音が鳴ります(^^)。しかし、この使い方では直射日光が当たらなくなったらすぐに使えなくなるので、別のハードで使い込んだ古い充電地をこのラジオに入れておき、太陽光で充電しながら使うといった災害用ラジオのような使い方もできてしまうのです。それも、ACアダプタを汎用のUSBコードと共用にしたことが功を奏しているわけです。

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 日本のメーカーのラジオでもACアダプタが接続できますが、独自形式の上結構な値段がするので、あえて購入しない人がほとんどでしょう。もちろん、電圧もまちまちなので、パソコンのUSB端子や外付バッテリー、さらには太陽光パネルから給電し、充電池に充電することなどできません。同じような家庭用電源への給電の仕組みがなぜ日本のメーカーできないのか、私はそこに日本のメーカーの国内ユーザーに対する姿勢が垣間見える気がするのです。今出ているハンドルや小さな太陽光パネルのついた災害用ラジオは、そのほとんどが手回しなどで貯めた電気を内蔵の充電池に溜め込む仕組みになっています。しかしこの電池はユーザー側で交換できないようになっていて、内蔵充電池の性能が著しく低下したらラジオとしての使い勝手が極端に悪くなってしまいます。しかし、多くの日本の方が見下すであろうこの中国のラジオなら、本体動作用に使っている単三のニッケル水素電池の性能が低下したとしても、どこでも売っている新しい充電池と入れ替えれば、その時点で電源に関する問題は簡単にクリアされるのです。

 紹介した太陽電池充電のセットはUSB5Vが使えるACアダプタ端子があり、ラジオ本体で充電できるものなら使い回しがきくので、ステレオではないもう少し小さいDSPラジオにしても同じように便利に使えます。この辺の使い勝手の良さは購入前には全く考えていなかったので、災害用の普段持ち歩き用として、モノラルスピーカー搭載で小さくまとまった同社のPL-380が楽天のセールで安くなっていたのでつい追加で注文してしまいました(^^;)。ソニーからワンセグ放送を受信できるラジオ、XDR-55TVが出ていますが、ワンセグを落ち着いて聞こうと思っている人にはいいかもしれませんが、従来のラジオ放送を楽しむだけなら、むしろPL-380でも十分だと思います。これくらい使い回しがきいて便利なラジオが日本のメーカーによって作られて存在すれば、多少高額になっても購入するのですが、本当にどうにかならないものかと思いますね。

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コメント

私も昨年の秋から、カーラジオを消して代わりにDSPラジオを聞いています。
(^^ゞ まあ、車のバッテリーに不安があるのが原因ですが・・・

オススメは同じTECSUN製のPL-505。

音質はPL-398MPに劣りますが、小型・軽量で感度もそこそこ良い。マジックテープを使ってAピラーにラジオを貼り付けて使うことができます。
電源ですが、エネループを自宅でUSB充電で満充電しておくと、9時間連続使用で3日ほど電池が保ちます。電池が切れそうになった時は、USB充電しながらラジオを聞くこともできます。

値段的にも5千円を切っているので、コスパ重視の方は良いと思いますよ。

桃太郎@東大阪 さん コメントありがとうございました。

PL-505は小型なのと、単三2本で動くのがいいですね。私も追加でPL-380の方を買ってしまいましたが、最初に買う場合は単三2本の方が何かと便利なので、ラジオだけの用途で使いたい場合はおすすめだと思います。

それにしても、日本の5千円以下のラジオとここらへんのラジオの性能を比較してみると、もはや日本のメーカーの優位性を見つけることはかなり難しくなっています。恐らく今後の災害時にも大いに役立つであろうワンセグの聞けるスピーカーラジオは5千円以下で買えるようにしないと、いわゆるラジオ好きの人たちは飛びつくとしても、一般の方への購入意欲には繋がらず、普及もしないというパターンになるのではないかと危惧しています。

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