TECSUN PL-398MP に見る中華ラジオの実力 その2 電池ローテーションの知恵と短波放送が聞けるメリット
PL-398MPが他のラジオと違って画期的だと思ったのは、ステレオスピーカーを搭載し、ミュージックプレーヤーなどの外付スピーカーとしても使え、ラジオ番組の録音こそできませんが、実に簡便ながらSDカードに入ったMP3ファイルも再生できるということもあります。ただ、本当に単なる再生機能があるだけでランダム再生などはなく、MP3プレーヤーとして使う場合はSDHCカードが使えず、従来の最大2GBまでというSDカードしか使えないというのが中国の製品らしいと言えなくもありませんが(^^;)、別の機材で録りためた録音済みのラジオ放送を聞くような用途には十分なので、旅行へ出る際にはそれまで録音するだけして聞いていなかった番組のMP3ファイルをSDカードに入れて持っていこうと思っています。音楽を聞く場合は素直に付属のコードで繋ぎ、再生機能の豊富なミュージックプレーヤーの外付けスピーカーとして使った方がいいでしょう。ただし、日本のラジオと違って注意しなければならないことのが一つありますので、その点について書きます。実はこのラジオが単三の電池を使うものの2本とか4本とかの偶数本ではなく、ちょっと中途半端と思える3本で動くということです。4本単位で売っている電池パックを買っても1本余ってしまうのですね。
私は使い切りのアルカリやマンガン電池ではなく、充電して使えるニッケル水素電池を使っているのですが、実はこのラジオと同じ単三電池3本で動くものもいくつか使っています。今回、ラジオを購入したことでそれらのものと電池を使い回すことができるので、その点では使い回しができて便利になりました。
それがこの写真でPL-398MPの隣にある、ジェントスの小型ランタンEX-837NXです。電球色LEDの温かい光で長時間光り続けるということで、個人的にはおすすめのランタンなのですが、これも単三電池3本仕様のため紹介するのを躊躇していました。私がこのブログで以前紹介した小型ランタンはEX-837NXではなく、単三電池4本で動くEX-757MSでした。ランタン単体で持つなら、単三3本という中途半端な本数よりも4本で動くものを使った方がいいだろうと思ったためです。ちなみに、EX-757MSは150ルーメン、実用点灯20時間をうたっていますが、EX-837NXの方は明るさこそ80ルーメンと少ないものの、実用点灯は30時間と、単三電池3本のEX-837NXの方が効率がよく光ってくれます。ちなみに、EX-837NXと同じくらいの大きさの単三4本タイプで、電球色の光を出すEX-1977ISの場合はさらに効率が悪く100ルーメン、連続点灯12時間というカタログスペックになっています。
PL-398MP(ステレオや外付スピーカーが要らない場合はPL-380でも同様)とEX-837NXを一緒に使うようにすれば、ニッケル水素電池の4本セットを3つ購入してローテーションを組めば、2つの器具が同時に電池がなくなったとしても無駄なくストックしていたセットに入れ替えることで効率的に使え、電池の無駄も生じません。状況によってはラジオかランタンのどちらかを増やしても3本のセットは1つ余るので、普段使いにしながら災害用として使うのにも最適です。いざという時にはランタン用の電池をラジオ本体で充電しながら使うという離れ業も可能です。災害用としてラジオとランタンを両方持ちたい考えるならば、この組み合わせは結構便利なので個人的におすすめしておきます。
さて、2013年になって、今の日本の行政や放送局は送信設備の老朽化を理由に、AMラジオ局をコストのかからないFMに移動するという話が出てきていて、ユーザー的にもその動向を注目せざるを得ない状況にあります。確かに放送局が送信設備を維持するコスト的には仕方ないところもあるでしょうし、災害時にごくごく狭い範囲ではありますが地域に密着した放送を安いコストで情報提供できるコミュニティFM局の意義というのはあると認識した上で、今後のラジオ放送を考えた時、果たして非常事態にどこまでラジオは対応できるのか考えると、広域をカバーする放送に不安が残ります。
2年前の東日本大震災ではテレビやラジオの放送施設に関する被害はそこまで出なかったように思いますが、もし関東地方の送信施設が使えなくなるくらいに被害が出てしまったとしたら、簡単に代替施設を使うことができるかどうか危ういのではないかと思います。今ある設備で日本中をカバーできる特性を持った短波放送が必要とされる場面が出てくるかも知れないと思う所以です。現在の日本国内で短波放送を提供しているのはラジオNIKKEIしかなく、情報源としての魅力は少ないかも知れませんが、周辺の放送局が聞こえなくなった場合、それはそれで十分頼りになるでしょう。
また、国外で災難に見舞われた場合にも短波放送が役立つ場合があります。例えば海外で大きな事件や事故に巻き込まれた場合、NHKが海外に向けて放送している「NHKワールド・ラジオ日本」(Radio Japan)が日本語でも放送しており、ネットが使えない状況での情報収集にはかなり役に立つでしょう。長期で海外に行かれる場合は、短波が聞けるラジオを持っていくといざという時には安心です。また国内にいる場合でも、もし周辺にあるAM局が聞けない場合にラジオ日本が直接聞くことができれば、NHKのニュース程度の情報は何とか入手できます。また、日本に向けて日本語での放送をしている海外局からの放送もあります。これについては情報云々ではなく、海外の人たちが日本に対してどういうメッセージを送っているのか把握することができるというのは、国内の放送局からは決して得られない情報です。さらに災害の規模や起こる場所の違いによっては、普段地域に放送を送っている送信局が使えなくなるかも知れません。最悪のシナリオは立てたくありませんが、ラジオからの情報源として、短波放送が最後の砦になる可能性は0ではありません。そういった意味でこのサイズのラジオで短波が聞けるというのは嬉しいですね。元々中国は国土が広いので、遠くまで届く短波が充実しているという聴取環境の違いという部分はあるにしろ、日本のメーカーではまずパーソナルユースのラジオでは搭載しない機能でしょう。国内だけでなく海外へ行くことの多い方は、少なくとも目的地のRadio Japanが聞けるぐらいの性能を持つ、こうしたラジオを一つ用意しておくと安心できます。
ラジオの操作については、日本のラジオと比べると少々戸惑う部分もあるものの、同封の英語による説明書(私が購入したものには中国語でなく英語のものが付いていました)を読むとだいたいの操作はわかります。使い込んでいけばいくほど、その多機能さに改めて日本メーカーのラジオとの差を感じます。全てにおいてこの中国製のラジオの方が良いとは思いませんが、日本のメーカーには謙虚にこうした中国製ラジオの良いところを取り入れた商品開発をお願いしたいですね。
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コメント
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海外に行くとラジオジャパンは役に立ちますよ。
直接、日本のラジオが聞けるのがどれだけ良いことか。
余談ですが、ソウルでは場所によって大阪の中波放送・ラジオ大阪(1314kHz)が聞くことができます。
投稿: 桃太郎@東大阪 | 2013年3月11日 (月) 23時02分
桃太郎@東大阪 さん コメントありがとうございました。
短波放送における日本語放送はインターネットの普及によって多くの国で廃止されてしまいましたが、海外で日本からの放送を聞けるように準備する場合はこのような小型の短波ラジオが便利ですね。
このラジオの場合は自動スキャンしてくれる機能もあり便利ですが、実際に行かれる場合は、事前に周波数を調べて行った方が選局で悩む事もないので、以下のページから最新の内容を印刷するなどして持って行くといいでしょう。
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/japanese/top/index.html
投稿: てら | 2013年3月12日 (火) 00時05分
こんばんは。
東京に直下型地震が襲ったら恐ろしい事になりますよね。
TV・FM・在京キーAMもダメでしょうから、関東地方のAMで放送を続けられるのは、栃木放送・茨城放送と、山梨県の民放くらいと思います。どのローカル局も出力が小さいですから、東京で栃木放送を聴取する事は難しいと思います。夜になれば、大阪のラジオが聞こえますが、夜だけでは意味がないですよね。
そうなると、短波だけが頼みの綱。
ラジオ日本には頑張って欲しいと思います。
ただ、短波受信できるラジオの普及率が低い事が心配です(私は5台くらい常時スタンバイです)。
投稿: 組長 | 2013年8月14日 (水) 19時17分
組長さん コメントありがとうございます。
昼間に周辺のラジオ送信局がのきなみダメージを受けてしまった場合、日本国内での大出力の送信局としてはNHK第2の秋田・熊本があります。防災用ラジオでこれらの局を何とか受信できる感度を持ったものがあればいいのですが、最近の防災用ラジオは機能を追求しても肝心の受信感度を軽んじるような製品が多いので、その点は気がかりですね。
投稿: てら | 2013年8月15日 (木) 01時44分