急須の使い方を知らない人が増えている?
先日新聞で読んだニュースにこんなものがありました。日教組の調べによると、自分で日本茶を煎れたことがないためか、急須の使い方を知らない高校生が増えているという調査結果があるとのこと。私の知り合いのお宅でも、親の世代はちゃんと急須を使って温かい日本茶(ここでは主に煎茶について書かせていただいております)を飲んでいるものの、子どもたちは日本茶を飲まず、ティーバックを容器に入れて冷蔵庫においておくだけで抽出される麦茶を食事の際にはもっぱら飲んでいます。この他、お茶といえばペットボトルのお茶が当たり前にある現在、テレビコマーシャルでも急須で煎れた日本茶との見分けが付かない(?)ことを売りにしたペットボトルのお茶が売り出されていたりして、ますます葉っぱから煎れる日本茶の肩身が狭くなっていくのではないかとの感じがあります。
先の調査では、金属製の急須をそのまま火に掛けようとした高校生の例が紹介されていたようですが、急須でのお茶の煎れ方にはちゃんとした作法があり、煎れ方一つでせっかくの日本茶を台無しにする危険性があります。下手に煎れたものと比べれば、ペットボトルの日本茶の方がおいしくなるというのはある意味的を射た指摘ではあるのです。学生時代にちゃんとした日本茶の煎れ方を学べるような機会がないというのも問題であると思いますし、そうして煎れたお茶を飲んだことがない人が多いので、ペットボトルのお茶や麦茶に行ってしまうということも言えるのかも知れません。煎れ方といっても大して難しいことはないので、こうした報道を機に多くの人に茶葉を使ったお茶の飲み方を知ってほしいと思いますね。
煎茶を煎れる場合は、まず急須に投入するお湯の温度が最重要の項目になります。茶葉にお湯を注ぐと香りが立ちますが、それが熱湯だったりすると茶の香気はすぐに飛んでしまいますので、本当のおいしさを味わうことはできません。玉露の場合は相当に下げて60℃くらいがおすすめですが、一般的な煎茶の場合でも80℃くらいまでは下げたいものです。通常は湯飲みにまず熱湯を注ぎ、しばらく冷ましてから茶葉を入れたお湯を湯飲みから投入するのがいいですが、旅先でおいしい日本茶を飲みたい場合にはいい方法があります。
これは、地元にある日本茶専門の喫茶店の方がやっていた方法ですが、100℃に近い熱湯を魔法瓶(ステンレス真空ボトルでも可)に前日夜に仕込んでおいて、翌日の営業には一晩かけてポットの中で適温に冷めているのでそのまま使うという方法です。車での旅の際、出発前にお湯を沸かしてポットに入れるのではなくて、前日に用意するだけで翌日にはそのまま適温で飲めるようになっているというわけです。
茶葉を旅先で用意する際には最初からティーバックの形でしてもいいですし、市販のお茶用の紙パックにいつも飲んでいる茶葉を入れたものを持っていくのもいいでしょう。日本茶はコーヒーと違って一回だけで終わりではなく、二煎目、三煎目と味の変化を感じながらいただくことができるので、結果的にペットボトルのお茶を行く先々で買うよりも経済的であるとも言えます。車で旅をする状況なら、車内で十分楽しめるお茶のセット一式を持ち運ぶことも可能になりますので、個人的にはぜひこうした外での日本茶を楽しむ人が増えてくれればと思いますね。
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