電池劣化の説明責任は?
アメリカのロサンゼルス郡地裁は、ホンダのハイブリッド車を購入した女性の訴えについて注目すべき命令をホンダに出しました。その女性は2006年モデルのシビックを購入し、広告ではリッター約21キロと宣伝していたものの、バッテリーが劣化するに従ってリッター13キロ以下に燃費が落ちたため、差額のガソリン代を請求するための訴訟を起こし、結果986ドルの賠償を勝ち取ったのだそう。
これだけの事実を見ると、訴えるほうがどうかしていると思われる方は多いでしょうし、当のホンダも上告する意思は固いようです。電池は劣化していくのに従ってアシスト機能が働かなくなり、結果として燃費が落ちることは普通に予想できますが、まさかこんな感じで訴訟を起こされるとはホンダも思っていなかったのではないでしょうか。しかしこれは対岸の火事ではないような気がします。というのも、今の日本においても実に興味深い宣伝活動が行なわれているからです。
というのも、今の日本のハイブリッド車は家庭用のコンセントから充電できるプラグインハイブリッド車が出てきて、ありえない燃費性能をうたっています。あくまで一つの例として挙げさせていただきますと、プリウスのプラグインハイブリッド車などは、ガソリンをほとんど使わないEVモードというのがあるそうです。そのモードで使っていれば、リッター60キロという驚異の燃費となり、報道でもこの数字が一人歩きしていたような感じを私は受けました。そんな印象をもとにトヨタのホームページで確認したところ、運転方法やエアコンの可動、道路状況などで燃費は変化する旨の記載はあるものの、バッテリーについては「リチウムイオンバッテリーの状態」としか書かれておらず、バッテリーが劣化したらどうなるのかという説明は驚異的な燃費の書かれたページには一切書いてありませんでした(2012年2月6日現在)。使用頻度にもよりますが、今回のような訴えが出るくらいバッテリーを酷使したまま交換をしなかった場合、リッター60キロのモードは使用できなくなるのではないかと思いますし、ハイブリッドでないエコカーと比較できるレベル以下の、かなりガソリンを消費する車になりさがる可能性は高いと言わざるを得ません。そういったプラグインハイブリッドを乗り続ける事に対する不安な点を、販売するにあたりきちんと説明してきたのかというのがまずは企業が確認しなければならないでしょうし、今後の日本のメーカーが特に海外で営業活動をするなら、こうしたディメリットをきちんと説明していかないと、さらなるトラブルが待っていることでしょう。
それにしても、購入して(おそらく新車だと思いますが)5年ちょっとで最大のメリットである燃費ががた落ちになってしまうというのは、かなり買った人のショックが大きいでしょうね。その点については訴訟を起こした女性に同情します。今の日本のテレビでは連日ハイブリッド車や電気自動車についてのコマーシャルを流し、それほど批判をすることもせずに普及を煽っているようにも思えるのですが、このままでいいのかという気もします。昨年あたり政府の補助金のおかげでで売れまくったハイブリッドカーが電池寿命を迎えたら、ちょっとした社会問題になってしまうのではないかと思うと、人事ながら心配になってしまいます。すでにハイブリッド車を新車で買ってしまっている方は、下取りや買い取りで評価されるうちに乗り換えるのが無難だと私は思うのですが(^^;)。
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